アメリカ大統領選挙は4年に一度オリンピック開催年と同じ年に行われます。
アメリカ大統領選挙は間接的ではありますが、日本と違い自分達で自分の国のトップを決めるという意識がとても強いです。そのため、アメリカでは友人・家族と政治や経済の話になることが多いです。
政治や経済の話は日常とは違うフレーズや単語が使われるため、話についていけないこともしばしば。議論が始まると一人でポカーンとなるのがとても悔しく、せっかくなら彼らの深〜い話を理解して、できることなら意見を言ってみたい!!と思い少し自分なりに勉強をしてみました。
今回は基本的なアメリカ大統領選にまつわる事柄について。英語の問題もありますが、恥ずかしながらそもそもシステムをあまりしっかり理解していなかったので自分の勉強の記録としてまとめたいと思います。
ぜひ参考にしてくださいね!それではさっそく見ていきましょう〜!
アメリカの大統領になれる人はどんな人?
アメリカに住んでいれば大統領になれるというものではありません。大統領になれる人の条件は米国憲法でしっかり定められています。
- アメリカで生まれたアメリカ市民であること。*1
- 35歳以上であること。
- 14年間以上アメリカに居住していること。
*1: 両親が米国籍であれば合衆国以外で生まれてもかまわない。
アメリカ大統領選挙の典型的なサイクル
アメリカ大統領選挙は4年に一度以下のようなサイクルで行われます。
①春(選挙前の年): 候補者は大統領選挙に出馬することを表明する。
②選挙前の年夏〜選挙年の春: 予備選挙と党員集会
③選挙年の1月〜6月: 大統領候補指命大会を開催し候補者を選出する。
④9月と10月: 候補者は大統領討論会に参加する。
⑤11月上旬: 一般選挙
⑥12月: 選挙人投票
⑦1月初旬(翌年): 連邦議会で開票
⑧1月20日: アメリカ大統領就任式
選挙人って何だ?予備選挙って何だ?という感じですね。記事の中でしっかり解説していますので安心してくださいね!だいたい毎4年このサイクルで大統領選は行われているので、このサイクルをもとに以下私なりに理解したことをまとめていきます。
1. 大統領になりたいと宣言する。
アメリカ大統領になるためには、まず「大統領になりたい!大統領選に出馬します!」という宣言をするところから始まります。立候補の宣言をし、選挙資金や立候補者をサポートするスタッフ(ボランティアを含む)の確保をします。
アメリカ大統領選に立候補し選挙活動を行うためには約10億ドルかかると言われています。アメリカは土地が広いので各地で遊説を行うには交通費もかかるし、人件費もかかります。そのためこの資金集めはとても大切なんです。
立候補者の中には資金が集められない・資金不足で大統領選挙の途中で脱落してしまう候補者もいます。アメリカの大統領になるためには、長期戦を勝ち抜くための気力・体力、そして資金力が重要です。
2. 予備選挙と党員集会(Primary and Caucus)
アメリカは二大政党制で、民主党と共和党の両党の大統領候補がアメリカ大統領選挙の有力候補です。民主党は英語でDemocratic Party(デモクラティック・パーティー)、共和党は英語でRepublican party(リパブリキャン・パーティー)と言います。
民主党と共和党は大統領候補の指命準備に取りかかり、1〜6月にかけて州ごとに予備選挙または党員集会を開催し投票が行われます。予備選挙は英語でPrimary election(プライマリー・エレクション)、党員集会は英語でCaucus(カーカス)と言います。
ここでアメリカ大統領選挙の仕組みで覚えておきたいポイントが一つ!それは、予備選挙は、立候補者に直接投票するのではなく、選挙前に誰に投票するか宣言している代議員に投票することです。これを間接選挙と言い、英語ではIndirect election(インダイレクト・エレクション)と言います。
間接選挙とは?
一般選挙民が選挙人を選出し、その選挙人の投票によって候補者の当落を決定する選挙方法。米国の大統領選挙など。複選挙。(引用: http://dictionary.goo.ne.jp/)
3. 大統領候補指命大会を開催(Nominating convention)
代議員は民主・共和両党の全国党大会に出席します。そこで、過半数の支持を得た候補が党の大統領候補に指命されます。選ばれた大統領候補は、全国党大会中に自分のラニングメイト(英語: running mate)つまり副大統領候補を指命し、一緒にアメリカ大統領選挙本戦に望みます。
ラニングメイトは、通常大統領候補に選ばれた人とは支持基盤・政策・キャラクターが違う人が選ばれます。有権者は党から選ばれた大統領候補だけでなく、大統領候補が誰をラニングメイトとして指名するのかにも注目しているためラニングメイト選びもとても需要なプロセスの一つです。
4. 一般選挙・大統領選挙人を選ぶ(Election Day)
選挙日は、選挙年の11月第一月曜日の翌日(火曜日)に行われます。
この選挙で選ばれるのは大統領ではなく538人の大統領選挙人が選ばれます。選挙は州ごとに行われ、この538人が規模に応じて各州に配布されます。
選挙人数が最も多いのはカリフォルニア州の55名。対して最も少ないのはアラスカ・デラウェア・モンタナ・ノースダコタ・サウスダコタ・バーモント・ワイオミング・コロンビア特別区の3名です。(順不同)
アメリカ大統領選を勝利するには、いかに選挙人数が多い州で勝利できるかが一番のポイントです。大統領候補者は選挙人の過半数270人獲得を目指して選挙を繰り広げます。
大統領選挙は間接選挙なので、投票権を持っている有権者は投票日に大統領と副大統領候補のペアへ投票を誓約する選挙人団に票を入れます。ペアは英語でticket(チケット)、選挙人団は英語でElectoral College(エレクトラル・カレッジ)と言います。
アメリカ選挙人団とは?
アメリカ合衆国大統領選挙の選挙人集会で大統領及び副大統領を選出する選挙人(英語:elector)の集合である。(引用: https://ja.wikipedia.org/wiki/)
ここでのポイントは、選挙人投票は勝者総取り方式であることです。勝者総取り方式は英語でWinner-take-all(ウィナー・テイク・オール)と言います。 勝者総取り方式は、他の選挙人団より一票でも多くの票を得た選挙人団がその州に割り当てられた全ての選挙票を獲得できる方式です。
5. 選挙人投票 (Electors cast their votes in the Electoral College)
12月の第2水曜日の次の月曜日に、一般選挙で選ばれた大統領選挙人が各州でどちらかのアメリカ大統領候補に投票します。選挙人の投票は一回のみです。ここで覚えておきたいポイントは1点。一般投票で選ばれた選挙人は、選挙人投票で違う人に投票することが可能です。
とはいえ、この段階で違う人に投票をするケースは極めて稀(まれ)で一般投票の結果で新大統領はほぼ決定と言われています。
もしどの候補も全選挙人過半数を取得できなかった場合は、大統領候補上位3名から下院が大統領を選び、副大統領は上院が選びます。
6. 連邦議会で開票とアメリカ新大統領就任式
翌年1月上旬に連邦議会で開票が行われ大統領が正式に決定します。新大統領の就任式は1月20日正午から行われ、新しい大統領は最高裁判所長官の立ち会いのもと宣誓をします。新大統領の任期は宣誓の行われる1月20日の正午からスタートします。
大統領の宣誓は首都ワシントンD.C.のアメリカ合衆国議会議事堂前で行われ、就任式当日は祝日になります。大統領は憲法で定められている通り職務を執行する前に宣誓をする義務があります。宣誓は英語でoath(オース)と言います。
宣誓文の規定は特にないようですが、宣誓の場合は「So help me God.」(神よ照覧あれ。)と最後に付けるのが慣例なようです。
アメリカ合衆国大統領就任式は英語でUnited States presidential inauguration(ユナイテッド・ステイツ・プレジデンシャル・イナギュレーション)と言います。
下の図ではここまで紹介したアメリカ大統領選の仕組み(流れ)が分かりやすく絵で説明されています。ぜひ参考にしてくださいね!
(引用: USA.gov )
アメリカ大統領の選挙権は誰にあるの?
選挙権はアメリカ国籍者のみです。残念ながら永住権者には選挙権はありません。年齢は18歳以上であり、選挙人登録を行う必要があります。
アメリカでは自動的に選挙人名簿に登録されることはないので自己申告で選挙人名簿に登録をしないと投票資格が与えられません。選挙人名簿は英語でVoter registration(ボーター・レジストレーション)と言います。
選挙権がないのに選挙人登録をすると刑法犯罪になるので注意してください。
☆覚えておくと便利な英語☆
The Presidential election: 大統領選挙
Primary election: 予備選挙
General election: 総選挙
Caucus: 党員集会
Nominating convention: 大統領候補指命大会
Nominee: 指命された人
Vice President: 副大統領
Running mate: 副大統領候補
Campaign: キャンペーン。遊説(ゆうぜい)。
Popular vote: 一般投票
Electoral College: (大統領・副大統領)選挙人団。
The House of Representatives: (アメリカ国議会の)下院。
The Senate: 上院。
Voter registration: 選挙人名簿
アメリカ大統領選の仕組みまとめ
2016年はまさにアメリカ大統領選挙の年です。アメリカでは大統領選挙はまるで大イベントのように人々は注目しています。アメリカに来てからアメリカ人の選挙に対する熱意に驚きました。
日本では自分たち国のトップを決めることができないので、ここまで熱くなって自分の国のトップを決められるってちょっといいなと思いました。アメリカ大統領選の仕組みを学んだことで、ますます今後の選挙の動きが気になりそうです。
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